年収を下げずに転職するには?後悔しないための5つの戦略

転職を考えたとき、「今よりも働きやすい環境に移りたいけれど、年収は下げたくない」と考える方は多いのではないでしょうか。

残業時間を減らしたい。もっと成長できる環境に行きたい。自分の市場価値を高めたい。

こうした希望があっても、転職によって年収が下がることを不安に感じ、なかなか一歩を踏み出せない方もいると思います。

しかし、転職で年収を維持・向上させるために重要なのは、現職での実績を整理し、自分の市場価値を理解したうえで、戦略的に転職先を選ぶことです。

この記事では、年収を下げずに転職するための具体的な5つの戦略と、転職活動で実践したいポイントを解説します。

1. 年収を維持した転職は可能なのか?

まず、転職によって賃金がどのように変化しているのかを確認しましょう。

厚生労働省の「令和7年上半期雇用動向調査」によると、転職入職者のうち、前職と比べて賃金が増加した人は39.4%、減少した人は31.5%、変わらなかった人は25.5%でした。

つまり、転職によって賃金が上がった人は一定数いる一方、賃金が下がった人もいます。

出典:厚生労働省「令和7年上半期雇用動向調査結果の概況」

この結果からも、転職すれば必ず年収が上がるわけではないことがわかります。

一方で、転職先や職種の選び方、これまでの経験の伝え方によって、年収を維持・向上できる可能性はあります。

大切なのは、内定を獲得することだけを目的にするのではなく、自分の希望する年収で採用されるための準備をすることです。

※調査対象の指標は「賃金」であり、賞与や各種手当を含む年収全体の変動と必ずしも一致するわけではありません。

2. 戦略① 自分の市場価値を正しく把握する

年収を維持して転職するために、最初に取り組みたいのが自己分析です。

ここでいう自己分析は、性格や長所を整理するだけではありません。企業が自分にどの程度の報酬を支払う価値があると考えるのか、客観的に把握することが重要です。

そのために、次の3つを整理しましょう。

① これまでの実績を数値化する

営業職であれば、単に「営業成績が良かった」と伝えるだけでは十分ではありません。

例えば、次のような情報を整理します。

  • 売上目標に対する達成率
  • 社内順位や営業成績
  • 新規顧客の獲得数
  • 商談数や成約率
  • 担当顧客数や取引規模
  • 業務改善によって削減した時間やコスト

重要なのは、成果だけでなく、成果を生み出したプロセスまで説明できるようにすることです。

例えば、「営業成績で上位になった」という実績に加えて、どのように顧客を開拓し、どのような工夫で成果につなげたのかを説明できれば、別の企業でも活躍できる人材だと伝えやすくなります。

② 自分の経験が活かせる職種を考える

転職では、これまでの経験と応募先の仕事との関連性が重要です。

例えば、法人営業の経験がある方であれば、同じ営業職だけでなく、営業企画、カスタマーサクセス、事業開発など、経験を活かせる職種が見つかる場合もあります。

ただし、職種を変えるほど、これまでの経験がそのまま評価されるとは限りません。

自分の強みが応募先のどの業務で活かせるのかを具体的に説明することが大切です。

③ 同じ職種・業界の年収水準を調べる

自分の希望年収を決める前に、応募先の業界や職種、役職、経験年数に応じた年収水準を確認しましょう。

転職サイトの求人情報や企業の採用ページ、転職エージェントから得られる情報などを比較すると、希望年収の妥当性を判断しやすくなります。

現職の年収だけを基準にするのではなく、転職市場でどの程度の評価を得られるのかを把握することが、年収を守る第一歩です。

3. 戦略② 年収を維持しやすい転職先を選ぶ

どれだけ優れた実績があっても、応募先の給与水準が低ければ、年収を維持することは難しくなります。

そのため、選考を受ける企業を選ぶ段階から戦略が必要です。

① 現職の経験が評価される企業を選ぶ

年収維持を優先するなら、未経験の仕事に一から挑戦するよりも、これまでの経験やスキルを評価してもらえる企業を中心に検討する方法があります。

例えば、法人営業で高い実績を上げてきた方であれば、同じ顧客層を持つ企業や、同様の営業スキルが求められる企業は、有力な候補になり得ます。

もちろん、異業種への転職でも経験を評価してもらえる可能性はあります。重要なのは、経験の再現性を説明できるかどうかです。

② 基本給だけでなく、年収の内訳を確認する

求人票に記載されている年収だけを見て判断するのは危険です。

確認したい項目は次のとおりです。

  • 基本給
  • 固定残業代とその対象時間
  • 賞与の支給条件・実績
  • インセンティブの計算方法
  • 各種手当
  • 入社初年度の賞与の扱い
  • 昇給や昇格の条件

例えば、現職の年収が700万円でも、そのうち100万円が業績連動の賞与だったとします。

転職先の提示年収も700万円であっても、賞与の条件やインセンティブの仕組みが違えば、実際に受け取れる金額や収入の安定性は異なります。

また、提示年収が高くても、長時間の残業や達成困難な営業目標を前提としている場合もあります。

年収の金額だけでなく、どのような条件でその年収を得られるのかを確認しましょう。

③ 働き方も含めて比較する

転職の目的は、年収を維持することだけではないはずです。

残業時間、休日数、勤務地、リモートワークの有無、仕事内容なども比較しましょう。

仮に年収が同じでも、残業時間が月80時間から20時間に減れば、自由に使える時間は大きく変わります。

年収を維持しながら働き方も改善できれば、転職によって得られるメリットはさらに大きくなります。

4. 戦略③ 実績を「別の企業でも再現できる強み」として伝える

選考では、過去の実績そのものだけでなく、その実績を入社後にも再現できるかが重要です。

ここで意識したいのが、実績を「結果・行動・再現性」の3つに分けて説明することです。

例えば、営業職の場合、次のように整理できます。

結果: 営業成績で上位の実績を残した。

行動: 顧客への接触数を増やし、商談後の振り返りを徹底して、提案内容を改善した。

再現性: 行動量を確保するだけでなく、顧客の反応を分析して改善を続けることで、成果につなげることができる。

このように伝えれば、単に「営業成績が良かった人」ではなく、成果を生み出す仕組みを理解している人材としてアピールできます。

職務経歴書では数字と工夫をセットにする

職務経歴書を作成する際は、次の順番で整理すると伝わりやすくなります。

  1. どのような目標を持っていたのか
  2. どのような課題があったのか
  3. 課題に対してどのような行動を取ったのか
  4. その結果、どのような成果が出たのか
  5. その経験を応募先でどう活かせるのか

実績を大きく見せる必要はありません。事実に基づいて、成果と工夫を具体的に伝えることが大切です。

5. 戦略④ 応募先ごとに志望動機と面接対策を変える

年収を維持したい場合、応募先を増やすことだけを考えるのではなく、志望度の高い企業の選考通過率を高めることも重要です。

そのためには、企業ごとに求められる人物像を理解し、自分の経験との接点を明確にしましょう。

① なぜその企業なのかを説明する

「成長できる環境だから」「年収を上げたいから」といった理由だけでは、採用担当者に十分な納得感を与えられないことがあります。

例えば、次の観点から志望動機を整理します。

  • 企業が抱えている課題や事業上の強み
  • 応募する職種に求められる役割
  • 自分の経験が活かせる領域
  • 入社後に実現したいこと

企業研究を行い、自分の経験と応募先のニーズがどのようにつながるのかを説明できるようにしましょう。

② 転職理由と志望動機に一貫性を持たせる

転職理由では、現職への不満だけを伝えるのではなく、次の環境で何を実現したいのかを説明することが重要です。

例えば、「残業を減らしたい」という希望がある場合でも、それだけで終わらせるのではなく、業務の生産性を高めながら、より付加価値の高い仕事に取り組みたいという方向性まで整理できると、前向きな転職理由として伝えやすくなります。

ただし、実際の転職理由を無理に取り繕う必要はありません。事実を踏まえたうえで、応募先で実現したいことを明確にしましょう。

③ 面接で実績を深掘りされても答えられるようにする

面接では、職務経歴書に記載した実績について、具体的な質問を受けることがあります。

「なぜ成果を出せたのか」「最も苦労したことは何か」「周囲とどのように協力したのか」「入社後にどう活かすのか」などを想定し、自分の言葉で説明できるように準備しましょう。

面接対策は、回答を丸暗記することではありません。自分の経験を整理し、質問の意図に合わせて伝えられる状態をつくることです。

6. 戦略⑤ 年収交渉は内定前後の適切なタイミングで行う

年収を維持するうえでは、年収交渉も重要なポイントです。

ただし、最初から希望年収だけを強く主張すればよいわけではありません。

企業側に自分を採用するメリットを理解してもらったうえで、希望条件を具体的に伝えることが大切です。

① 希望年収を事前に決めておく

転職活動を始める前に、次の3つを整理しておきましょう。

  • 希望年収: 実現したい年収
  • 最低希望年収: 原則として下回りたくない水準
  • 交渉可能な条件: 年収以外も含めて検討できる条件

最低希望年収は、生活費や家計の状況、転職による働き方の変化などを踏まえて決めるとよいでしょう。

② 希望年収は根拠とセットで伝える

希望年収を伝える際は、現職の年収だけでなく、これまでの実績や応募先で提供できる価値を根拠として示すことが重要です。

例えば、次のように伝えられます。

「現職では年収○万円で、これまで○○の実績を積んできました。今回のポジションでも、これまでの経験を活かして○○の面で貢献できると考えております。そのため、希望年収は○万円を考えておりますが、職務内容や評価制度も踏まえてご相談できればと考えております。」

実際の年収や実績に合わせて調整し、根拠のある説明を心がけましょう。

③ 内定後は労働条件を書面で確認する

内定が出たら、年収の金額だけでなく、基本給、賞与、インセンティブ、手当、試用期間中の条件などを確認しましょう。

口頭での説明だけで判断せず、労働条件通知書などの書面で条件を確認してから、現職の退職手続きを進めることをおすすめします。

また、希望年収に届かなかった場合でも、入社後の昇給条件や評価制度などを確認することで、納得できる選択肢が見つかることがあります。

ただし、将来の昇給は保証されるものではないため、確定した条件と期待値は分けて判断しましょう。

7. 年収を下げずに転職したい人が避けるべき3つの失敗

ここまで紹介した戦略に加えて、次の3つにも注意しましょう。

失敗① 年収だけで転職先を決める

年収が上がっても、残業時間や業務負荷が大幅に増えれば、転職前より満足度が下がる可能性があります。

年収、仕事内容、働き方、将来のキャリアを総合的に比較しましょう。

失敗② 現職への不満だけで転職活動を始める

現職への不満が転職のきっかけになることは自然です。しかし、不満を解消することだけを目的にすると、転職先で何を実現したいのかが曖昧になりがちです。

転職によって得たいものと、譲れない条件を明確にしましょう。

失敗③ 内定が出る前に退職してしまう

転職活動には、想定以上に時間がかかることがあります。

年収維持を重視するのであれば、可能な限り在職中に転職活動を進め、内定後に労働条件を確認してから退職を判断することが、収入面のリスクを抑える方法の一つです。

8. 年収を維持する転職は、準備で差がつく

年収を下げずに転職するために重要なのは、次の5つです。

  1. 自分の市場価値を客観的に把握する
  2. 現職の経験が評価される企業を選ぶ
  3. 実績を再現性のある強みとして伝える
  4. 企業ごとに選考対策を行う
  5. 根拠を持って年収交渉を行う

転職は、必ずしも年収を下げる選択ではありません。これまでの経験を適切に評価してくれる企業を見つけることで、年収を維持しながら、働き方やキャリアを改善できる可能性があります。

一方で、年収維持を優先するあまり、応募先を狭めすぎたり、仕事内容や将来性を見落としたりしないように注意しましょう。

大切なのは、今の年収だけを見るのではなく、転職後にどのような働き方を実現し、どのようなキャリアを築いていきたいのかを考えることです。

MIRAI Partners株式会社では、これまでの経験や強みを整理し、自分に合ったキャリアを考えることを大切にしています。

転職を考えている方は、まず自分の市場価値と希望条件を整理するところから始めてみてはいかがでしょうか。

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